久しぶりの更新になります。
最近はもっぱらTwitterでの更新がメインだった為、ブログの更新をさぼっていました。
さて、今日は12月16日(東京17日早朝4時)に行われるFOMCのポイントについて解説したいと思います。
今回のFOMCの注目ポイントは2つです。
ポイント① フォワードガイダンスの変更
前回のFOMC議事録を読むと、12月FOMCで量的緩和のフォワードガイダンス変更を行う可能性は極めて高いと言えます。
The September FOMC statement indicated that asset purchases will continue “over coming months,” and participants viewed this guidance for asset purchases as having served the Committee well so far.
Most participants judged that the Committee should update this guidance at some point and implement qualitative outcome-based guidance that links the horizon over which the Committee anticipates it would be conducting asset purchases to economic conditions.
太字の部分は資産購入プログラムについて、『FOMC参加者の多くがガイダンスを変更すべきで、”質的な結果に基づく”ガイダンスを実施する必要があると判断した』と書かれています。
議事録で明記されている為、今月のFOMCでガイダンスを変更することは間違いないと言えます。
ポイントになるのは『質的な結果に基づくガイダンス,(qualitative outcome based guidance)』がどう定義されるのか?という点です。
qualitative(質的な・定性的な)と書かれている為、FOMCでは量的緩和のフォーワードガイダンスを『敢えて』曖昧にしたいという意図を感じます。
これは量的緩和という枠組みが政策金利の変更とは異なり、購入規模や期限に限りがある為です。ですので、FOMCとしては、『思っていたよりも景気が早く改善すれば早めに止めたいし、そうでなければ出来るだけ続ける』といった柔軟性を持たせたいと考えているわけです。
マーケットで考えられているアイデアとして、最も有り得そうなシナリオは『インフレ率が安定的に2%を達成するその”道筋”が見えるまで、量的緩和を続ける』もしくは『完全雇用の”道筋”が見えるまで、量的緩和を続ける』といったFOMCの政策目標に焦点を当てるケースです。
この二つを組み合わせたケースも考えられますが、どちらの方が株式市場にとって良いのでしょうか?
それはつまり、『インフレ目標を達成するのと完全雇用を達成するのとでは、どちらの方が難しいか(時間がかかるか)』という質問に繋がります。
リーマンショック以降続いた、米国経済の構造的な問題を考えるとインフレ目標を達成することのハードルの方が高く、より時間がかかると言えます。
ですので、『インフレ率が安定的に2%を達成するその”道筋”が見えるまで、量的緩和を続ける』とした方が、量的緩和の期間が長くなると市場で受け止められ、株式市場は好感する可能性が高いと思います。
ポイント② 購入債券のデュレーション長期化はあるのか
現在、FOMCでは米国債とモーゲージ証券を毎月購入しています。
このうち、米国債については期間の短い債券や超長期債など、幅広い年限を購入しています。
購入金額こそ変わらずとも、購入債券の平均年限(デュレーション)を長期化する可能性があると、一部の市場参加者の間で言われてきました。
確かにFOMCが購入する債券の年限を長くすることで、長期金利が下がり、住宅ローン金利の低下や、企業の借り入れコストダウンに繋がります。また、リスクフリーレートの低下はリスク資産の上昇にも繋がります。
しかし、住宅ローン金利がすでに市場最安値にあり、株式市場は史上最高値にある今、FOMCが追加緩和に踏み切る必要があるのか?と問われればそれは微妙です。
確かに、米国ではコロナウイルスの感染拡大で、今後数カ月は景気に下向きリスクがあります。
しかし、それはワクチンが広く普及される来年夏までの一時的なダウンサイドと考えてしまえば、敢えてここで緩和策を使う必要は無いとも言えます。
そういった事情もあり、今では購入債券のデュレーション長期化を予想している人は少ないです。
逆に言えば、デュレーション長期化の発表が無くても『失望売りには繋がらない』と言えるでしょう。